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くそたろう


あるところにお兄さんが住んでいました。
ある日、おにいさんが公園へ蟲狩り且つ命の洗濯にいくと、
茂みの中から大きなお腹の実装石がデッデロゲーデッデロゲーと歩いてきました。
お兄さんが実装石をバールのよ(ryで割ると、あふれ出た糞の中から
賢そうな仔がテッテレーと産まれました。
糞の中から生まれた仔実装をお兄さんは「糞太郎」と名づけて火箸で挟んで連れ帰りました。


糞太郎はお兄さんの元ですくすくと育ちました。
髪の残っていない頭には賢そうな双眸がきらめき、
服が無いとはいえ、度重なる重症から再生した頑丈な肉体は
糞太郎を他の実装石に見劣りさせないものでした。
恐怖に眠れない夜は糞太郎の神経を常に研ぎ澄まさせ、
度重なる断食の日々は糞太郎に実装らしからぬ精神力を植えつけました。

       *       *       *

ある日糞太郎が言いました。

「もう限界デス そろそろワタシを楽にして欲しいデス」

糞太郎の言葉にお兄さんはこういいます。

「ああ、でも糞太郎、お前は俺の大切な玩具だからもう少し生き地獄を味わって欲しい」
「デェェェェン あんまりデス」
「でも、そうだな、糞太郎、お前が公園のボスをやっつけられたら自由にしてやってもいい」
「デ? ほんとデス?」
「ああ、公園のボスがどこにいるかと言うとな…」

お兄さんは糞太郎に旅の支度を整えてあげました。

逃走防止の爆弾首輪、逃走防止の爆竹付き腕輪、逃走防止の爆裂ベルト。

そしてコンペイトウの入った袋を糞太郎に渡しました。

「ぶっちゃけ一人じゃ絶対負けるから、これで仲間を増やすといい」

糞太郎は重い装備を引きずりながら、公園に旅立ちました。


       *       *       *


糞太郎はガリガリコンペイトウを齧りながら公園を進みました。

「デヒッ そのご飯を分けてくれたらワタシを踏んでもいいデス
 下僕と罵ってもいいデス デッフーン」

駄犬のように卑屈で卑猥な糞蟲がついてきました。

「デップーン 美しいワタシのオナニーを只で見るとは何事デース
 見学料を払うデース」

サルのように無限に自慰に励む糞蟲がついてきました。

「お腹ペコペコデー デヒー 甘そうな匂いがするデー
 …? お腹ペコペコデー」

3歩歩くと全部忘れてしまう鳥頭のかわいそうな実装石もついてきました。


       *       *       *


糞太郎の目の前には大きなダンボールハウスがありました。

「ご主人様の言うとおり、公園の中で一番大きなオウチ…ここがボスの家デス…」

ここにくるまでの道中でコンペイトウは4匹で食い尽くしました。
糞太郎は付いてきた3匹を振り返ります。

「まあ、ここにいる糞蟲をみんなでボコれば自由デス
 さっさと片すデス」

4匹はダンボールハウスに突撃しました。

ぼぱん

4匹が無遠慮にダンボールハウスに突撃した直後、湿った音が周囲に響き渡りました。
糞太郎たちが大量に摂取した遅効性ドドンパが存分に効果を発揮したのです。

「デギャァァァァァ!!」
「デギィィィィィィ!!」
「レヒャァァァァァ!!」
「テチャァァァァァ!!」
「デェェェェェェェ!!」

ボスの家…実はただの幸せな実装家族の家は、
内側からの緑色の衝撃で爆発したように膨れ上がりました。


次の瞬間、ダンボールハウスは入り口から漏れた糞の噴射で空中に浮かび上がり、
ものすごい勢いで空に飛び上がりました。

「ゲボォ なんで なんでワタシが ゲボォ こんな こんな目に合う 合うデ ボヘェ!」

4匹分の糞の奔流に悶えながら糞太郎は絶叫しました。

そして大いに飛び上がった段ボール箱は十分に飛距離を稼ぐと、
逃走防止用グッズの安全範囲をやすやすとオーバーしたのでした。





ぽべぇん。





それは、あまりにも汚い花火でした。




       *       *       *


周囲に撒き散らかされた糞はたいへんなものでした。
首輪の燃え残りからあっさり身元がばれたお兄さんは鬼のように怒り狂った公園の管理人に呼び出され、
こっぴどく怒られ、残骸の掃除をさせられました。


掃除の報告が終わり、ようやく管理人小屋から開放されたお兄さんは首をひねります。
振り返った管理人小屋は糞ひとつない綺麗なものでした。



「糞太郎には公園で一番おおきな建物にいる公園のボスをやっつけろと言ったのになぁ」



所詮は実装か…

お兄さんは両手にあふれるほどのゴミ袋を持たされ、家に帰りましたとさ。




めでたしめでたし


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