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実装燈蛆〜ファーの場合〜1




「ルェーン ルェーン ルェーン」
「デェ……」

プニプニプニプニ

「ルェーン ルェーン ルェーン」
「デデェ……」

プニプニプニ…

「こんの……緑DV玉がァァ!」
「デベロッチャ!」

ファー……実装燈の蛆に執拗な虐待を繰り返していたカビ助を壁に蹴り飛ばす。
ボン ボイン ベチャ
バウンドして元の位置に戻って悶絶しているカビ助(丈夫な奴だ)に問う。

「お前今何をしていましたか」
「デェェ 蛆チャンにプニプニを…」
「言い訳するなァ!」
「デベロッチャ!」

ボス ボヨン デン ベチャ
別の壁にカビ助を蹴り飛ばす。
今度は別の壁で三角バウンドして戻ってきたカビ助にもう一度問う。

「お前今何をしようとしていましたか」
「ファーが泣いて」
「ファー様な」
「……ファー様が泣いて」
「やっぱなしで。なが○けん閣下に申し訳が立たぬ」
「……ファーが泣いていたんデス……プニプニすれば泣き止むと思ったデス」
「言い訳をすr」
「その天丼はオススメできないデスゥ!」
「……ぬう、しかしなぜプニプニで」

話を聞くとどうにもちゃんと面倒を見ていたらしいカビ助。
うっかり壁の汚れを増やしてしまった手前もあり、まじめに実装燈について検索をしてみる。

【実装燈の蛆の飼い方】
最重要:プニプニ厳禁

「ほう」
「デェ」

読めないくせにカビ助のやつもモニターを覗き込む。
こいつはこの画面にたまに俺がエロ画像を表示することを知っているのだ。
なんて破廉恥な実装石だろう。切腹させてやろうか……

「ご主人 なんて書いてあるデス?」
「むう、確かに面倒を見させるお前に教えないと意味がないな」

調べた内容をカビ助にかいつまんで教える。

つまり、実装燈と呼ばれるものは非常に弱い骨格を持っているらしい。
鳥のそれよりもはるかにもろく、逆に強度を犠牲にした軽さで飛行を可能にしているとか。
そして、その骨格ゆえの微細な骨折が絶えないために、大量のカルシウムを摂取するというのだ。

「同時に飛行のための大量のエネルギーを確保する最適なものが乳酸菌飲料と」
「奴らの趣味じゃなかったんデス?」
「実用品らしいなぁ」

もっともヤク○トに乳歯を入れると溶けるって話もあるから骨にいいのかどうかは本当は不明だが……

「とにかく、骨格に定期的な圧力を加えるプニプニは実装燈には絶対禁止……らしい」
「デエ」
「プニプニしすぎると腹部の発達が遅れて『ジャンク』と呼ばれる障害にまでなることがあるとか」
「……もしそうなっちゃったらワタシどうなるデス?」
「いくつになりたい?」
「……」

散々ビビらせたせいかカビ助はあまりファーの水槽には近づかなくなった。
ほっとくとまた別の方向で精神が歪んでいくらしいんだけどな。

その後もエサのヤク○トはちゃんとやっているようなので、
ふたの裏を舐めるのは見逃してやることにする。


〈続く〉


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