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雨ときどき槍


降りしきる雨の中、寮に帰ると玄関脇にダンボールが置いてある。
濡れた服を一刻も早く着替えたかったので、、
「傘立てにするにももっと工夫がほしいなあ」
とあまり疑問を抱かずにダンボールに傘を刺した。

次の日、玄関の前で寮長さんが騒いでいる。
傘がぎっしり刺さったダンボールの底から、緑色の液体が垂れていた。
(一晩だけ軒先を貸してほしいデス…)
哀れな実装石の言い分に、動物好きの寮長さんがOKしたらしい。

(だって傘が刺さってたから傘立てだって思うじゃん)
皆がひそひそ話している。
ああ傘が一本だめになった。気が重い。
今日も雨だ。カバンから折り畳み傘を出すと陰鬱な気持ちで学校に向かった。


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